建設資材の価格高騰と今後の見通し

2026年、中東情勢の緊迫化(ホルムズ海峡封鎖)をきっかけに、住宅に使われる建材の価格が急騰しています。
どの資材がどれくらい上がっているのか、今後どうなりそうか。家づくりの判断に必要な事実をまとめました。

断熱材(ポリスチレンフォーム)
+40%
2026年4月出荷分〜 / カネカ発表
塩化ビニル樹脂(配管等)
+55円/kg
2026年4月納入分〜 / 信越化学ほか
塗料・シンナー
+30〜80%
2026年5月出荷分〜 / 各メーカー通達

いま何が起きているのか ― ナフサ危機

2026年2月末、米国・イスラエルとイランの軍事衝突をきっかけに、中東のエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上封鎖されました。
日本は原油輸入の約9割を中東に依存しており、その影響が住宅建材にまで波及しています。

2021年
ウッドショック:コロナ禍の物流混乱で木材が世界的に不足。木材価格が1.5〜2倍に急騰。
2022年
アイアンショック+ウクライナ侵攻:鉄鋼・エネルギー価格が急上昇。建築費指数が4年で55ポイント上昇。
2024年
円安・人件費上昇:1ドル=160円台に。建設業の人手不足(ピーク時685万人→479万人)で労務費も上昇。
2026年
2〜3月
ナフサ危機:ホルムズ海峡封鎖でナフサ(石油化学の原料)の供給が逼迫。
三菱ケミカル・三井化学・旭化成がエチレン設備の減産を発表。
住宅建材の値上げ・出荷制限が一気に拡大。
ナフサとは?
原油を精製する過程で得られる石油化学の原料です。プラスチック・塗料・接着剤・断熱材・配管など、住宅1棟に使われる石油由来の素材はほぼすべてナフサが出発点。ナフサの供給が止まると、住宅建材の広い範囲に影響が及びます。

建材ごとの価格高騰状況

ナフサ危機の影響は、石油由来の建材を中心に広がっています。一方、木材やセメント系など石油に直接依存しない素材への影響は限定的です。

影響大(石油由来) 影響中 影響小(当社採用素材) 参考
※2020年を100とした価格指数(概算)。出典:国土交通省「主要建設資材需給・価格動向調査」/ 各メーカー発表をもとに作成。2026年4月以降は発表済みの値上げ幅を反映した推計。

住宅に使われる主な建材と値上げの影響

影響大
断熱材(ポリスチレンフォーム)
+40%
ナフサ由来のポリスチレンが原料。カネカが4月出荷分から40%値上げを発表。さらなる値上げの可能性も。一般的な住宅で広く使われている断熱材です。
影響大
塩化ビニル樹脂(配管・床材)
+55円/kg
水道管・排水管・床材の原料。信越化学・積水化学が4月納入分から値上げ。住宅の配管工事費が上昇する見込み。
影響大
塗料・シンナー・コーキング材
+30〜80%
溶剤(トルエン・キシレン等)がナフサ由来。メーカーから出荷制限の通知も。外壁塗装・防水工事のコストに直撃。
影響中
住宅設備機器
+5〜15%
給湯器・エアコン・キッチン等には多数の樹脂部品が使われている。ナフサ高騰で部品コストが上昇し、製品価格に転嫁される見込み。
影響中
鉄鋼(鉄筋・鉄骨)
高止まり
2021年のアイアンショック以降、高値圏が続く。木造住宅では基礎の鉄筋に使用。鉄骨造ほどの影響ではないが、基礎工事費に反映。
影響小
木材
安定傾向
2021年のウッドショック後に落ち着き、現在は安定。ただし円安が進めば輸入材のコスト上昇リスクあり。
影響小
セメント・窯業系外壁材
微増
原料(石灰石等)は国内調達が中心のためナフサ危機の直接影響は限定的。ただし輸送費・電力コストの上昇分は転嫁される。
影響小
グラスウール断熱材
微増
原料はガラス繊維で石油由来ではない。ナフサ危機の直接影響をほとんど受けない断熱材。当社の標準仕様で採用。

当社の仕様は、ナフサ危機の影響をどれくらい受けるか?

セルコホーム名古屋西の標準仕様は、石油由来の素材への依存度が低い構成です。
一般的な住宅と比べて、今回のナフサ危機の影響を受けにくいポイントを整理しました。

部位一般的な住宅当社の仕様影響度
断熱材ポリスチレンフォーム
(ナフサ由来 → +40%)
グラスウール
(ガラス繊維 → 影響小)
◎ 有利
外壁窯業系サイディング
(コーキング大量使用)
東レ ラップサイディング
(コーキング箇所が少ない)
◎ 有利
屋根スレート
(塗装にナフサ由来塗料)
オークリッジスーパー
(塗装不要)
◎ 有利
配管塩ビ管(PVC)→ 同条件で値上げの影響あり△ 同等
設備機器給湯器・エアコン等 → 同条件で値上げの影響あり△ 同等
断熱材がグラスウールであることの大きなアドバンテージ
今回のナフサ危機で最も大きな値上げ(+40%)が発生しているのがポリスチレンフォーム断熱材です。
当社の断熱材はガラス繊維が原料のグラスウールのため、この値上げの影響をほとんど受けません。
断熱材は住宅1棟あたりの使用量が多く、この差がコストに大きく影響します。

新築だけじゃない ― リフォーム・リノベへの影響

ナフサ危機は新築だけでなく、リフォームやマンションリノベーションにも影響があります。

リフォーム:塗料・コーキング・配管の値上げが直撃
外壁塗装(塗料+30〜80%)、防水工事(シーリング材値上げ)、配管交換(塩ビ管値上げ)など、リフォームで使う素材の多くがナフサ由来です。
リフォームを検討中の方は、見積もりの有効期限と値上げスケジュールに注意が必要です。
マンションリノベーション:「今ある箱を活かす」選択肢に追い風
新築の建築費が上がり続ける中、既存のマンションの躯体(コンクリート構造)を活かしてリノベーションする選択肢は、相対的にコストメリットが高まっています。
マンションの躯体は鉄筋コンクリートで耐久性が高く、内装を一新するだけで新築同様の住空間が実現できます。
当社でもマンションリノベーションに対応していますので、「新築か、リノベか」で迷われている方はお気軽にご相談ください。

今後の見通し

ナフサ危機がいつ収束するかは中東情勢次第ですが、過去のショック(ウッドショック・アイアンショック)の経験から言えることがあります。

過去のショックの教訓
・ウッドショック(2021年)→ 木材価格はピーク後に下がったが、元の水準には戻っていない
・アイアンショック(2021年〜)→ 鉄鋼価格は4年経った今も高止まり
・いずれも「一時的に上がって戻る」のではなく「上がった後に高止まりする」パターン
ナフサ危機も同じパターンになる可能性が高い
ホルムズ海峡の封鎖が解消されても、ナフサ価格がすぐに元に戻るとは考えにくい状況です。
・減産で停止したエチレンプラントの再稼働には時間がかかる
・メーカーの値上げは「元に戻す」より「据え置く」のが通常
・円安が続く限り、輸入コストの高止まりは変わらない

つまり「待てば安くなる」というシナリオは、過去の例から見ても成立しにくいのが実態です。

資材が高騰する中で、最初にできること

資材の値上げは事実ですが、すべての建材が同じように上がるわけではありません
素材の選び方次第で影響を抑えることは可能です。

STEP 1
「安心ライン」を知る
資材が上がっている今だからこそ、まずは「自分たちが無理なくかけられる金額」を把握しておくことが大切です。提携のライフプランナーが一緒に整理します。
STEP 2
資金の割り振りを考える
資材高騰の影響を受けにくい仕様を選ぶことで、トータルコストを抑えられる可能性があります。新築・リフォーム・マンションリノベ、どの選択肢が最適かも含めてご相談ください。

正しく知って、冷静に判断する

「資材が上がっている」と聞くと不安になりますが、大切なのは何がどれくらい上がっていて、自分たちの家づくりにどう影響するのかを具体的に把握することです。
当社の仕様は、今回のナフサ危機で最も影響の大きいポリスチレン断熱材を使用しておらず、塗装メンテナンスの少ない外壁・屋根を採用しています。
資材高騰の時代でも、仕様選びの工夫でコストを抑えることは可能です。

もちろん、家づくりのタイミングは資材価格だけで決めるものではありません。
ご家族のライフプランやお気持ちが一番大切です。
「今動くべきか、待つべきか」も含めて、数字に基づいた判断のお手伝いをさせていただきます。
第1章:建築費の動向 目次に戻る →